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M&Aプロセス(20)「取引形態(事業譲渡)」

M&Aの取引形態の中で、今回は「事業譲渡」取引について、ご説明します。

 

事業譲渡取引とはまさに、必要な事業(それに伴う資産、負債、ヒト、商標等)

を売買する取引です。

買い手からすると、必要なものだけを譲り受けることになり、不要な資産(遊

休不動産など)や債務は譲渡の対象から外すことができます。また簿外債務

を引き継いでしまうリスクを概ね排除することができます。

この点からすると、買い手にとって大変有利なように思われますが、最大の

難点は、手続きが煩雑になることです。即ち、譲渡対象となる資産・負債・諸

契約について、一つずつ名義変更、登記、債権者や契約の相手方の個別の

同意取り付け、といった手続きを行う必要が生じます。特に許認可は原則と

して引き継ぐことができないため、再度取得し直す必要があり、大変な時間

が掛かる場合もあります。

また従業員を引き継ぐのにも、本人からの個別の同意が必要になります(通

は、譲渡会社へ「退職届」を提出し、譲受会社との「雇用契約書」を締結す

ことになるが、実務上は、従業員への心理的影響を考慮し、「転籍承諾書」

対応することが多い)。

 

従って、事業譲渡取引が選択されるケースは限定的と言えます。簿外債務が

怖く、何としても回避したい場合、株式譲渡により親子関係になることに不都

合が生じる場合(例えば、業法などで親子間の人材交流が制限される等)

などが挙げられます。

なお、優良資産だけを切り出し、不良資産や債務は残すといった詐害行為と

見なされ兼ねない取引が論外なのは、言うまでもありません。

                                            以 上