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M&Aプロセス(8)「売買価格その4」

M&Aを行う際の売買価格の考え方の説明を続けます。

 

前回まで言及してきた「B/Sアプローチ」のメリットは、他の算定方法と比べ、

分かりやすく、客観性が高い、ということでした。

では逆に、デメリット、弱みは何かというと、この方法は現在の収益力を反映した

ものではないため、「業歴が長く、過去の蓄積の結果として純資産額は大きいが、

今の収益性は低い」、逆に、「内部留保の蓄積はまだできていないが、収益力が

上昇傾向にある」ような企業が対象となる場合は、納得感が得られにくいことです。

 

業歴40年を超える製造業のA社。創業社長が70歳を超え、後継者に恵まれなか

ったため、売却を決意されました。

この社長はコツコツと会社を大きくされ、純資産は10億円を超えています。一方で

最近の利益水準は、デフレの荒波には抗えず、何とか30〜40百万円の黒字を計

上している状況。

この会社を純資産価額で買収すると、単純計算ですが、投資回収には25年以上か

かってしまいます。

買い手企業に買収シナジーが大きく見込めるとしても、この水準では買い手企業の

納得を得るのは極めて困難である、と言わざるを得ません。

しかしながら、中部地区に多い財務的に優良な企業では、このような事態が起こる

ケースが決して少なくありません。

 

これが、B/Sのみから価格算定することの限界であり、P/Lアプローチの出番と

なります。次回以降でご説明いたします。

                                                以上